☆表現者クライテリオン2022年9月号巻頭言
安倍晋三氏の訃報が流れた直後、岸田文雄総理大臣は涙に目を腫らしながら「安倍氏の思いを受け止め、引き継ぎながら日本について引き続きしっかりと責任を果たしたい」と言明した。そして岸田総理は、その直後の参議院選挙で大勝を収めたのだが――それを受けて再強化された岸田政権において自ら口にした「安倍氏の思いを受け止め、引き継ぐ」ことが果たしてできるのだろうか?
ただし少なくとも、敵を作ることを避けるために何もしない「無策無敵」と批判されるこれまでの9カ月の岸田総理の政治態度を改めない限り、それが可能となることはあり得ない。そもそも第二次の安倍内閣の一丁目一番地の施策はデフレ脱却だったのであり、晩年はそのための積極財政を徹底的に主張していたことは公知の事実だからだ。
ついては本誌では、明るい未来へと繋がり得る賢明なる総理判断への支援を企図し、生前の安倍氏を偲び、その思いの内実を改めて振り返ると同時に、岸田氏が自ら言明した安倍氏の思いの継承が可能であるか否かを、様々な角度から考えることとした。
表現者クライテリオン編集長 藤井聡
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●目次
☆【特集】岸田文雄は、安倍晋三の思いを引き継げるのか?――「無策無敵」は政治にあらず
・編纂にあたって/藤井聡
[特集対談]
・安倍晋三の第一の遺志は経済政策。それを無視するのは誤魔化しである/森田実×藤井聡
・「岸田文雄」と「安倍晋三」の思想を問う その聞く耳は何の為のものなのか?/中島岳志×藤井聡
[特集座談会]
安倍晋三の恩義と信頼、そして保守思想/西田昌司×藤井聡×柴山桂太
[特集論考]
・岸田首相は戦後最大の危機に対応できるのか 安倍氏死去と「無策無敵」の限界、参院選後が正念場/泉 宏
・「二〇一二体制」を岸田文雄はどう引き継ぐのか?/白井 聡
・岸田文雄と近衛文麿 その「弱き性格」の行方について/浜崎洋介
・国産復興こそが食料安全保障 なぜ食料を蔑ろにするのか/鈴木宣弘
・岸田総理の覚悟が問われる「深刻な電力危機」の構造/石川和男
・「資源問題」に無為無策な岸田政権/柴田明夫
・コロナ禍における為政者の無為無策は最大級の罪である/森田洋之
・誰かの「黄金」は誰かの「暗黒」である/森永康平
・『表現者』と安倍晋三1 安倍晋三の政治力とは何だったのか/富岡幸一郎
・『表現者』と安倍晋三2 安倍晋三、世界をリードした不屈の精神 一人の天才政治家の悲劇/西村幸祐
[特集インタビュー]政治評論家・鈴木棟一が語る「岸田文雄」と「岸田政権」/鈴木棟一 聞き手 藤井聡
☆【特別インタビュー】
亀山郁夫氏に聞く ロシアの内在論理を問う 受動性と全一制、そして断絶の歴史/聞き手 柴山桂太・川端祐一郎
☆【特別対談】
武術研究者・甲野善紀氏に聞く(後編) 死生観を失った時代の果てに/聞き手 柴山桂太
☆【連載】
・<新連載>葬られた国民作家 獅子文六 第1回 正統なる正当性を求めて/平坂純一
・<新連載>東京ブレンバスター1 祖国復帰とウルトラの星/但馬オサム
・「農」を語る 第3回 農こそが日本を守る/鈴木宣弘×藤井聡
・欧米保守思想に関するエッセイ 第9回 プラトンの教訓 民主主義の欠陥と哲人統治の可能性/伊藤貫
・経営学で読む文学 第2回 山本周五郎『彦左衛門外記』「天下のご意見番」と「社史」はいかに創られる? レトリックとしての歴史と経営/岩尾俊兵
・逆張りのメディア論26 総戦力に備え、「一次情報の自給率」を高めよ/松林薫
・ナショナリズム再考 第17回 「正義」・「忠誠」・「共同体」 ロイスからローティへ――愛着と忠誠の政治哲学序説/白川俊介
・地形がつくる日本の歴史 第二十六回(最終回) 奇跡・日本の近代化 江戸のインフラ遺産/竹村公太郎
・やわらか日本文化論 「運」よりも「恩」 言葉から考える13/施光 恒
・編集長クライテリア日記 令和四年六月~七月/藤井聡
・表現者クライテリオン創刊四周年シンポジウム in新宿の報告 首都東京で考える『「愛国」としての「反日」』について/松島豊樹
☆【寄稿】
・教育を語る言葉の息苦しさはどこからくるのか コロナ禍で改革ありきの発想から抜け出すためのヒントを考える/清水一雄
☆【書評】
・『ウィトゲンシュタインと言語の限界』ピエール・アド 著/篠崎奏平
・『経済の起源』大澤真幸著/前田龍之祐
・『感情の向こうがわ 武術家と精神科医のダイアローグ』光岡英稔・名越康文 著/田中孝太郎
・『MMT講義ノート 貨幣の起源、主権国家の原点とは何か』島倉原 著/橋本悠
・『自由の国と感染症 法制度が映すアメリカのイデオロギー』ヴェルナー・トレスケン 著/黄宇成
☆【その他】
・「統一教会に恨みを持った人物による元総理暗殺」は何を意味するのか/政治改革の無残な失敗(鳥兜)
・日本版ジョーカーの言葉――安倍元首相狙撃犯の怨念/「非倫理性」は避けがたい(保守放談)
・読者からの手紙(投稿
日本の防衛準備はできていない!奇襲侵攻を防げない!
もし侵攻されたら間違いなく占領される!
現代兵器の戦争では、自衛隊は1ヵ月しかもたない!
[戦えない軍隊 自衛隊の悲劇]
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もしウクライナに日本と同じ憲法9条があれば
、
ロシアの侵攻を止めることができただろうか?
戦争が起きれば、あなたはどこに避難するのか?
非難する場所はあるのか?
現代の戦争で専守防衛・必要最小限の防衛力では国は絶対守れない。
では、どうすればいいのか?
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国を守るには、国防意識の高さ、軍事力、集団安全保障の枠組みが必要なのに日本にはない!
序 章◎プーチンの誤認識・暴挙とウクライナの善戦
第1章◎近代兵器を有する軍が衝突する戦争では、損耗が著しく大きい
第2章◎近代兵器の戦いは、2週間で最も大きな損耗が出る
第3章◎広大な正面を同時攻撃の愚かさを、日本は笑えない
第4章◎新技術を取り入れた兵器が、勝負を決定づけている
第5章◎ウクライナ全土が戦場になった
第6章◎ウクライナ――国家総力戦の国家運営や戦い方が参考になる
第7章◎ロシア軍は核戦争を想定して準備してきた
第8章◎ロシアの化学兵器攻撃の脅威は常に存在する
第9章◎ロシア軍のもろさを中国軍が共有
第10章◎日本防衛の問題点と、日本人の防衛意識の改革
80年前の課題=現代日本が抱える大問題。
どう、解決への道筋をつけるか。
米欧との“文明の戦い”に挑む「空気」は、こう作られた。
自己喪失とリアリズムの霧散。そこに到るまでの必然を、
明治・大正・昭和の人々の苦悩と葛藤のうちに描き出す。
政治テロはなぜ起きるのか!?
日本は大正時代、世界の5大国の1つになった。しかし独自性を発揮出来ず、自己喪失に陥る。その穴を埋めるべく進められた大東亜共栄圏構想、戦争……。
本書では大正時代~昭和前期に顕著になった日本人の「自信喪失」状況を浮かび上がらせる。それを乗り越えるべくブームになった日本浪漫派、京都学派による「日本論」を解説し、国民に与えた影響を描き出す。同時に、欧米との関係の失敗を分析し、日本の未来へのヒントを提示する。
【本書の主な内容】
日露戦争の勝利と「時代閉塞」/武士道を忘れた日本人/鴎外が語った「型」の喪失
山縣有朋の死と近代日本の機能不全/政党政治と揺らぐ《正統性=レジティマシー》
関東大震災と流言飛語/殺風景なモダン都市東京へ/「マルクス主義」という名の宗教
昭和恐慌という「非合理性の打撃」/「猫町」としての日本近代/「文明開化の論理」の終焉
二・二六事件を導いた「空気」/「機関」でも「主権」でもない天皇制へ
近衛文麿のモダン性と復古性/後づけの「東亜協同体論」
欧米という“本当の敵”に向かい合えたことの爽快感/近代日本人の「適応異常」
◇特集
『世界を支配する声を聞け! 第三次世界大戦の危機!?』
■巻頭:
『「しんどい!」から抜け出すための脳の使い方』
●濱田恭子&舩井勝仁
『プーチン大統領は“声”で国民を支配しようとしているのか?』
●中島由美子
◇連載
●舩井勝仁
主幹から
今月号タイトル:経済人類学
●副島隆彦
評論家、副島国家戦略研究所【SNSI】主宰
連載テーマ「誰も書かない世の中の裏側」
今月号タイトル:ウクライナ戦争で西側白人同盟(G7)は衰退し、非白人の貧乏大国同盟(エマージングG8)の時代が来る
●古歩道ベンジャミン
フリージャーナリスト
連載テーマ「新しい時代への突入」
今月号タイトル:窮地に追い込まれる欧米諸国と世界を味方につけるロシア
●船瀬俊介
地球環境評論家
連載テーマ「マスコミのタブー200連発」
今月号タイトル:『ヴィーガン革命』ドイツは10年で32倍増! もう、誰にも止められない……
●飛鳥昭雄
サイエンスエンターテイナー
連載テーマ「情報最前線――未来への指針」
今月号タイトル:隠岐がすべての「国仕掛け」を握っていた!!
●安西正鷹
『みち』論説委員
連載テーマ「お金の謎に迫る」
今月号タイトル:お金に呪いをかけた者の正体を読み解く(5)
●金原博昭
オリオン形而上学研究所 代表
今月号タイトル:第二のトンネル《その7》
◇新連載
●新堂冬樹
小説家
罪と罰2023
◇短期連載
●大村大次郎
医療、公共機関にはびこる日本の病巣
◇読み切り
●インタビュー:坂内慶子
今月号タイトル:夢という魂からのメッセージを読み解けば道はおのずと示される
●飛鳥昭雄&吉野内聖一郎&南方幸一
今月号タイトル:宇宙の根源「水」について語る
◇今月号の見どころを、一部ご紹介
■巻頭対談
●濱田恭子&舩井勝仁
『「しんどい!」から抜け出すための脳の使い方』
――――――――――――――16ページ
舩井
感情を解放するまでのプロセスを、私はもっと小難しくとらえていたのですが、濱田さんのようにかみ砕いて伝えられることに感心しました。(中略)おもしろいキーワードもいくつも出てくるのですが、感情の棘の話とぐるぐるの森の話は特に共感しました。
濱田
「感情の棘」が突き出している記憶は顕在意識に上がってきやすいのです。UFOキャッチャーを思い浮かべていただくとわかりやすいのですが、問題のない記憶や日常的にノーマルなエピソードは、つるっとしていてつかみにくいおもちゃのようなものです。一方、「驚いたこと」「嫌だったこと」「特別に面白かった」などといった、感情にひっかかりのある記憶は、凸凹がはっきりしているため、つかんで取り出しやすい。そのために、ふとしたきっかけで意識の表層にあがってきやすいのです。この中でもやっかいなのが、ネガティブな感情を伴うもの。過去の失敗や理不尽な体験、自分の欠点などといった感情は、一度浮かぶと、何度も何度も反芻してしまいます。この反芻を「ぐるぐるの森」としています。まるで、ずっと閉じることのできないソフトウェアが動き続けているようなものです。常に稼働しているので、同じことばかりで頭がいっぱいになり、そこに容量のほとんどを割いてしまう。考えても考えても解決する糸口も見つからなくてぐるぐると同じ考えを繰り返してしまうのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●中島由美子
『プーチン大統領は、“声”で国民を支配しようとしているのか?』
――――――――――――――36ページ
いま国際的に最も関心を集めている事件は、ロシアによるウクライナ侵攻でしょう。各国のリーダーの声を分析し、それぞれの心理状態を読み解くことで、状況打開に向けての可能性を探ってみたいと思います。ゼレンスキー大統領が日本の国会で行った演説を分析してみました。(中略)特徴的なのはゴールド・イエロー・ライムグリーンにかけての領域です。これは、自分という存在感で周りを巻き込んだり、影響を与える特徴を持つ色です。もと芸人であることが関係しているのか分かりませんが、エンターテイメント的な才能に優れているといえます。また、円の内側にネイビーの色が出ていることから、戦略家であることがうかがえます。(中略)この戦争が長引いている要因は、ゼレンスキー大統領の才能でもある、イエロー・ゴールドといった部分に関係しているかもしれません。これらの色には、嫉妬・妬みという負のエネルギーの影響があると考えられます。なにか深い部分でロシアに対する嫉妬心があり、それがさまざまなメディアを使ったパフォーマンスに表れているようです。
2020年代――
大陸が島国を飲み込む危機。
コロナ、ウクライナからの「正しい出口」はこれだ!
1.地政学、2.エコロジー、3.フェミニズム、4.ポリティカル・コレクトネスーー令和の今をにぎわすテーマは、目新しい事ではない。
昭和40年代、平成の初めに続いて戦後3度目の出来事だ。そして結局、バカ騒ぎするだけで課題は解決されることなく、先送りされて繰り返されてきた。そして、コロナ禍とウクライナ戦争によって再び浮き彫りになった日本の病理。日本人はドツボにはまって抜け出せない。平成がさらに劣化された時代に、われわれは生きねばならないのか! 地に足の着いた解決策を模索する書。
第1章 軍事――ウクライナ戦争で「平和主義」は終わるのか
第2章 政治――「自民党一強」はいつまで続くか
第3章 経済――「円安・インフレ」で暮らしはどうなるか
第4章 環境――「エコ社会主義」に未来はあるか
第5章 中国――膨張する「ユーラシア」とどう向きあうか
第6章 提言――日本の未来も「長期楽観」で
令和を「劣化平成」にしないために。
自由で強い社会へ道筋を示す。