

著者
柿埜真吾
コード
9784828428178
カテゴリ
社会・国際・政治
発売日
2026/8/3
本体価格
1,800円+税
ページ数
288ページ
サイズ
四六ソフト
内容
自由民主主義の危機は、日本にも他人事ではありません。安倍晋三元首相の暗殺事件をはじめ暴力的テロや過激な陰謀論、排外主義の台頭など他の国々で起きていることは日本でも起きています。こうした危機が起きるのは、自由主義とは何か、守るべき自由とは何なのかという原点が見失われてしまい、混乱が起きていることと関わっているように思われます。私たちは、自由な社会を当たり前のもののように思い込み、それがいかにもろいものか忘れていたのではないでしょうか。
自由な社会は人類の歴史上、例外的なものでした。自由な時代が訪れても、すぐに自由が失われ、より徹底した隷属の時代が始まったこともしばしばです。もしかすると、現代の私たちの自由な社会もつかの間の幸運な時代にすぎないのかもしれません。自由を守ることができるかどうかは私たちにかかっているといえるでしょう。だからこそ、自由主義の歴史を学び、一見魅力的に見える強権的な政治体制やポピュリズムがどんな危険な道につながっているか知ることが重要なのです。
本書は自由主義の歴史をやさしく書いた本です。ですが、ただ単に過去の偉人の思想や出来事を並べた本ではありません。これは、現代の世界をつくった思想の歴史であり、信教の自由、言論の自由、法の支配、市場経済、自由貿易に基づく国際的な分業といった戦後80年のあいだ、私たちが当たり前のように享受してきた自由な社会を支える仕組みを生み出した思想の歴史です。自由主義を知ることは私たちの世界の成り立ちを知ることなのです。──「はじめに」より
〈目次〉
【第1部 自由主義の誕生と発展、そしてニューリベラリズム】
第1講 消極的自由と積極的自由? ……なぜ自由主義がわかりづらいか──そもそも「自由主義」とは何か
なぜいま、自由主義を学ぶ必要があるのか/かつては「過激派」扱いされていた歴史も……/「近代人の自由」と「古代人の自由」は必ずしもイコールではない/積極的自由の名のもとに侵害される自由/「自由主義に反対する人たちとの論争」と「自由主義の内部の論争」
第2講 ホッブズ、ロック……生命、自由、財産の権利をどう守るか──「自由主義」の誕生
自由主義の起源と当時の社会的背景/ホップズが説いた「自然状態」とは?/名誉革命とジョン・ロック/ロックの発想──「社会は政府がなくても機能する」。では、政府は何をするか?/「生命、自由、財産の権利」を守るために/今日の世界をつくった思想/【コラム】モンテスキューとアメリカ合衆国憲法
第3講 アダム・スミスの見えざる手……その真の意味と論理とは──アダム・スミスの『国富論』
政府は万能ではない、自由にしたほうが社会はうまく回る/アダム・スミスの「見えざる手」とは?/論理的に「自由市場のメリット」を説いたスミス/【コラム】フランス革命と自由主義
第4講 ベンサムとJ.S.ミル……功利主義や自由論はバランスが大切──ベンサムの功利主義とミルの自由論
ベンサムの考えた「功利主義」……「最大多数の最大幸福」と自由主義/功利主義が抱える「両義性」/ミルが説いた『自由論』……「他者危害原則」とは?/「消極的自由」と「積極的自由」のバランスがとれたミルの発想/【コラム】『自由論』のもう一人の著者
第5講 介入主義? 社会主義? ……ニューリベラリズムとは何か?──ニューリベラリズムの台頭
ニューリベラリズムの登場/市場経済への疑念と相まって、介入主義が台頭/現代リベラリズムの基本政策と“ハーベイロードの前提”/イギリスの「自由民主党」とは?──自由党の転落
第6講 河合栄次郎、石橋湛山、ルーズベルト……日米自由主義者の主張──日本とアメリカのニューリベラリズム
日本のニューリベラリズム──河合栄次郎と石橋湛山の思想/「植民地や軍国主義は利益にはならない」と喝破した石橋/アメリカでは当初、「プログレッシブ」といわれていた/「リベラル=大きな政府」の定着
第7講 大きな政府も第三の道も行き詰まり……現代リベラリズムの混迷──現代リベラリズム
錯綜するリベラリズムの思想と「現代リベラリズム」/経済停滞で「大きな政府」が維持できなくなった/新たに登場した「第三の道」も行き詰まって……/【コラム】新しいリベラルの台頭
【第2部 ニューリベラリズムへの警鐘と現代自由主義の諸相】
第8講 ハーバート・スペンサーとダイシー……二十世紀の危機の予言者──ニューリベラリズムへの異議
「ニューリベラリズム」を警戒する声/「絶対主義的な専制国家が現れる」スペンサーが発した重要な警告/官僚主導の行政に異議を唱えたダイシー/「反動だ」といわれ、当時は受け入れられなかった
第9講 計画経済が失敗する理由……ミーゼス、ハイエクの鋭い指摘──社会主義計画経済への批判
社会主義計画経済がうまくいかないわけ/「従わざるもの食うべからず」野心家がつくる抑圧社会/彼らこそむしろ「本来の自由主義」だった
第10講 新自由主義(ネオリベラリズム)への大誤解と言いがかり──ネオリベラリズムの登場と誤解
「大恐慌」で本当に市場経済は終わった?/リップマン・シンポジウム……「ネオリベラリズム」の登場/モンペルラン会議……「戦後は自由主義で」という路線を確認/ネオリベラリズムへのひどい誤解/ミーゼス、ハイエク、フリードマンは「ネオリベラリズム」?/「ネオリベラリズム」という単語は使わないほうが無難?
第11講 戦後復興を実現した「ネオリベラリズム」がなぜ悪口に?──戦後復興と「ネオリベラリズム」
戦後の奇跡の復興を実現した「ネオリベラリズム」路線/ネオリベラリズム路線は大成功だった/ネオリベラリズム政策が常識となっていく/小泉政権や安倍政権はそんなに市場原理主義だったか?/社会主義の崩壊で「資本主義反対」が「新自由主義反対」に
第12講 リバタリアニズムとは何か……個人的自由も経済的自由も──「リバタリアニズム」の登場
「リバタリアニズム」とはどのような思想か/「リバタリアン」の思想的特徴をノーラン・チャートで整理/古典的自由主義を引き継いだリバタリアニズム/古典的自由主義、リベラリズムからリバタリアニズムへの流れを整理
【第三部 「現代の自由主義」を深く理解するための文献解題】
第13講 ロールズ『正義論』……無知のベール? マキシミン原理?──ロールズ『正義論』
現代リベラリズムを基礎づけたロールズの『正義論』/「無知のベール」理論と「マキシミン原理」/「正義」の二つの原理:「自由原理」と「格差原理」/人の性格・能力はすべて「偶然の賜物」という発想でいいか? /前提にあるのは国家万能説?/現実に即して考えると、おかしな点が多いマキシミン原理/【コラム】現代リベラリズムの諸潮流とその批判者
第14講 「リバタリアニズム」の様々な側面を整理して分類してみる──「リバタリアニズム」の多様な潮流
「政府の介入はどれくらいが望ましいか」/政府をまったく認めない「無政府資本主義」/「なぜ、大きな政府に反対しなければならないか」
第15講 ハイエク『隷従への道』……社会主義はなぜ弊害だらけなのか──ハイエクの『隷従への道』
「計画経済は全体主義に陥る」/社会主義では新しい知恵を生かせない/「社会の大部分は、人間の設計の産物ではない」/ハイエクの経済理論には批判も多かった/【コラム】自由主義と全体主義の違い
第16講 フリードマン『資本主義と自由』……自由な社会を守るために──ミルトン・フリードマンの主張
政治的自由と経済的自由は結びついている/政府の介入でもっと悪くなる場合も多い/ルールに基づく経済政策を……恣意的な政府介入は不可
第17講 負の所得税、教育バウチャー……フリードマンの格差是正策──フリードマンが考える福祉政策
現行の生活保護制度の問題点/「負の所得税」とは/家庭に引換券を出す「バウチャー制度」/フリードマンは格差や差別に敏感だった/【コラム】基本的人権の一要素としての経済的自由
第18講 ノージック『アナーキー、国家、ユートピア』……最小国家論──ノージックの「最小国家論」
国家はそもそも必要なのか/「再分配が正義というのは本当か」/自然権と社会契約論……現実との接点が非常に希薄?
第19講 「新自由主義」も「新保守主義」も元々の意味が全然違う?──「新自由主義」「新保守主義」とは
ニューリベラリズム、ネオリベラリズム、リバタリアニズムをまとめると……/「新自由主義」「新保守主義」は何を指す?/英米と大陸欧州で「ニューライト」の意味がまったく異なる/トランプ政権が「ネオコン」
??/【コラム】リバタリアニズムをめぐる混乱
第20講 自由主義、保守主義、全体主義……真の社会全体の利益とは?──「自由な社会」を守るために
自由主義と保守主義は両立する……エドマンド・バーク/自由主義と対立するのは「全体主義」/全体主義でむしろ「分断」がつくりだされる/古典的自由主義が成功を収めたからこそ……/自由主義の「これだけは絶対に譲れない共通項」
おわりに
さらに学びたい人のための参考文献リスト
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